保健師の金原嘉子です。
今日は、本題の前に少し私のことを。
私が保健師として、ダイエットのサポートを始めたきっかけは「生活習慣病予防」でした。
もともと、行政で仕事をしていた時に「確実に体重を減らす(内臓脂肪を減らす)し、血液データや血圧などが改善できる教室をやりたい!」と思って出会ったのがスマートダイエット®でした。
スマートダイエット®教室に参加してくださった方たちからは、沢山のお声をいただきましたが、なかでも一番印象的だったのが
「人生が変わりました」
という言葉です。
この言葉をいただいたとき、自分のからだと向き合う3ヶ月間は、単に体重が減る、検査値が改善することだけでなく、その人にとって人生を変える、生き方を変えるくらい大きな意味をもたらすものだと確信しました。
3ヶ月終わったときに見える景色。これを参加者の皆さんと共有できたとき、この仕事をしててよかった、と思います。
「生活習慣病予防」を目的にしていたダイエットサポートですが、今では、ダイエットを通じて、より、その人らしい生き方ができるサポートをしていきたいと思っています。
前置きが長くなりました。
今日のテーマは「減量のためには運動は後回しでいい」です。
1つ前の投稿で紹介している「保健指導リソースガイド」の記事でも、スマートダイエット®を開発された田中喜代次先生が、データとともに減量における運動の考え方について書かれています。
よかったらそちらも読んでみてください。
なぜ運動はあと回しにしていいのか。
それは、
・運動による消費エネルギーは思っている以上に少ない。
・運動したという安心感で摂取カロリーが増えやすい。
・体重が多い状態で運動量を増やすと身体を傷めることが多い。
の3つです。
運動による消費エネルギーは思っている以上に少ない
「体重は減る」ということはエネルギーの収支バランスをマイナスにする必要があります。
つまり、摂取カロリー<消費カロリーという状態をつくらなければなりません。
体脂肪1kg=約7200kcal
1ヶ月で2kg減量しようと思ったら・・・
7200kcal×2÷30日=480kcal
今よりも消費カロリーを480kcal/日増やすか、摂取カロリーを480kcal/日減らすか・・・
ということになります。
具体的には
1日に480kcal消費できる運動を今の生活にプラスし、それを毎日続ける。
または
今食べている量から毎日480kcal減らす。
ということです。
運動により消費カロリーを増やすことを考えてみましょう。
体重60kgの人が480kcalを消費するための運動は約2時間の早歩きです。
毎日2時間・・・できますか?
普段の活動量にさらにプラスです。
雨の日は室内でそれだけの運動をしなくてはなりません。
エアロビクスだと強度にもよりますが、1時間30分くらいです。
もう一度聞きます。できそうですか?
仕事や家事で忙しいなかで、これだけの運動量を確保することはほぼ不可能ではないでしょうか。
食事で摂取カロリーを減らすことを考えてみましょう。
480kcalというと菓子パン3/4個~1個程度です。
また3食で480kcal減らせばいいので、1食だと160kcal減らせばいいということになります。
コンビニのおにぎり1個で160~220kcl程度
コンビニのショーケースに並んでいるコロッケやメンチカツ1個が約230kcal
缶ビール500ml1本が200~230kcal程度
例えば
毎食のごはんを少し減らす
大盛は卒業する
菓子パンをおにぎりに変える
晩酌のビールを500ml→350mlにするまたはのむ頻度を減らす
甘い飲み物をやめる
食べるたびに、ちょっと意識すれば、480kcal減らすこと、できそうではありませんか?
摂取カロリーは、日々、食べるもの、買うもののカロリーを見ることを習慣化するだけでも違います。
実際、介入研究のデータでも、このようなデータが出ています。
(「ダイエット」と表記されているのは「食事改善」群です)
【データ提供:筑波大学名誉教授・田中喜代次先生】
運動したという安心感で摂取カロリーが増えやすい
また、運動すると、「運動したから、ちょっとくらい食べても大丈夫だよね」という心理が働きます。
この場合、確実に運動で消費した以上のカロリーをとることにつながります。
また、食べすぎたときの言い訳にも使われます。
「食べすぎた分、運動すればいいよね?」
この場合も食べすぎた分のカロリーほど運動できません。
ダイエットが成功して、体重を維持する時期には、このような思考でもOKだと思います。むしろ、リバウンド予防、体重維持のためには運動は欠かせません。
しかし体重を減らしたい時期にこの思考でやっていると、体重は減るどころか、逆に運動を始めて体重が増える人もいます。(「筋肉がついたのかな?」という人もいますが、そんなに簡単に筋肉は増えません・・・残念ながら脂肪です)
運動に頼るダイエットは、成果が出にくく、モチベーションも保ちにくい傾向があります。
体重が多い状態で運動量を増やすと身体を傷めることが多い。
体重が増えている状態で積極的に運動をすると、関節への負担が大きくなり、膝や腰などを痛めてしまう人もいます。
更に、今までほとんど運動をしていなかった人が、いきなり運動を始めて関節に負荷をかければ、関節が悲鳴を上げるのも当然です。
痛みがあれば、活動量が制限されるので、運動を頑張った結果、以前よりも活動量が減ってしまう・・・という悪循環にもなりかねません。
また体重が増えたことが原因で痛みが起こっている人もいます。その場合は体重を減らすことで、関節への負荷を減らし、痛みを軽減できることもあります。
実際、膝痛、腰痛がある人で整形外科で減量を勧められたという人も多いと思います。
ダイエットの優先順位は食事→運動
以上のことから、ダイエットにおいては、食事改善を優先的に行う方が成功しやすいです。
もちろん、運動は身体の質を高める、体力が維持できる、ストレス解消やリフレッシュになる、自己肯定感を高める、仲間意識が芽生える・・・と色々な効果があり、生涯続けてほしいものであります。
ただし、やり方によっては身体を傷めることにつながるので、特に体重が20代の頃と比べて大幅に増えている人は、ある程度減量の成果が出てから運動を楽しむことをお勧めします。
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